救急医の目線(犬) 救急医の目線(猫) 犬のあれこれ 犬の飼い方 猫のあれこれ 猫の飼い方

【救急獣医師が警告】GW明けに急増!愛犬・愛猫が見せる危険なSOSサイン」

こんにちは!
犬と猫の救急獣医師Sohey(ソーヘイ)です。

ゴールデンウィーク、楽しく過ごされましたか?
旅行や帰省、来客などで賑やかな日々を過ごされた方も多いのではないでしょうか。

連休明けは、私たち人間も少し疲れが出やすい時期ですが、
実は犬や猫にとっても心身に変化が現れやすい時期なんです。

「うちの子、なんだかいつもと違うかも…?」

この記事では、そんな飼い主さんの小さな気づきを大切に、
GW明けに特に気をつけたい愛犬・愛猫のSOSサインと、
飼い主さんにすぐできることを救急医の視点からお伝えします。

大切な家族の一員である愛犬・愛猫の変化にいち早く気づき、
すぐに対処してあげるために、ぜひ最後までお読みください。

【要注意】GW明けに犬猫の体調が崩れやすい2つの理由とは?

ゴールデンウィークのような大型連休明けは、急に体調を崩して来院する子がとても増えます。
なぜGW明けは特に注意が必要なのか。

主に2つの理由が考えられます。

①生活リズムの乱れと環境の変化

GW中は、普段と生活リズムが大きく変わることが多いですよね。

来客や外出の増加:
知らない人との接触や、慣れない場所への外出は、
犬や猫にとって大きな刺激となり、
知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでいることがあります。

飼い主さんの在宅時間の変動:
普段はお留守番が長い子が飼い主さんとずっと一緒に過ごしたり、
逆にいつもは誰かしら家にいるのに急に一人の時間が長くなったりすることは、
リズムの変化につながります。

食事内容の変化:
旅行先でいつもと違うごはんやおやつをもらったり、
ついおすそ分けが増えたりすることも、胃腸の負担になることがあります。

犬や猫にとっての「非日常」は、楽しいことばかりではなく、
見えない疲れやストレスとして蓄積されている可能性があります。

私が日々の診療で感じるのは、「非日常」は飼い主さんが思っている以上に、
デリケートな子ほど負担になっている
と考えます。

②春特有の気候変動も影響!?

5月は、日中は汗ばむ陽気かと思えば、
朝晩は少し肌寒かったりと、寒暖差が大きい季節です。

このような気温の変動は、犬や猫の体温調節機能に負担をかけ、
体調を崩すきっかけになることがあります。
特に子犬・子猫や高齢の子、持病のある子は注意が必要ですね。

これだけは見逃さないで!犬猫の危険な「体調変化」SOSサイン3選

GW明けに愛犬・愛猫に以下のようなサインが見られたら、
体調が悪化している可能性があります。

特に注意して観察してください。
ただし、様子見過ぎは禁物ですよ!

【要注意!体調変化のSOSサイン】

サイン①「ぐったりして元気がない」「食欲がない」

いつもなら喜んで駆け寄ってくるのに、呼んでも反応が鈍い。
お気に入りのおもちゃで誘っても遊びたがらない。
ごはんの時間になっても寄ってこない、あるいは全く口をつけない。

特に、普段は食いしん坊な子が半日以上何も食べない、水も飲まないといった場合は、
命に関わる病気のサインである可能性も。何らかの不調を抱えている可能性が高いです。

同時に元気もなくなっているのなら、迷わず早めに動物病院を受診しましょう。

サイン②「吐いている」「下痢をしている」

吐く回数が多い。
水様便や血・粘液の混じった便が出る。
頻繁にトイレに行くのに、少量しか出ない。

1-2回程度の嘔吐や軟便であれば、少し様子を見ても大事に至らない場合もありますが、
1日に何度も繰り返す場合や、嘔吐物や便に血が混じる場合緊急性の高いサインです。要注意。
胃腸炎だけでなく、誤食や他の病気が原因の可能性も考えられます。

脱水症状を引き起こし、さらなる悪化を引き起こすこともあるため、
早めの対応が重要ですし、一刻を争う場合もあります。

サイン③「呼吸がおかしい」「様子が明らかに変」

呼吸が速い、または浅くて苦しそう。
咳が続く、ゼーゼーという音がする。
震えが止まらない、ふらついている。
普段と違う行動をとる(例:暗い場所に隠れて出てこない、異常に興奮しているなど)。

呼吸器系のトラブルや、神経症状、強い痛みなどを抱えている可能性があります。

これは獣医師として最も重要視しているポイントですが、飼い主さんが直感的に「これはおかしい!」と感じる場合は、
ほぼ間違いなく、何らかの異常事態が発生しています。異常事態です!

すぐに動物病院を受診してください。
その直感はとても大切です
救急医療の現場でも、飼い主さんの「いつもと違う」という言葉が、早期発見・早期治療に繋がることが本当に多いのです。

もしかしてストレス?犬猫が見せる「行動の変化」SOSサイン2選

体調不良だけでなく、環境の変化によるストレスが行動として現れることもあります。
これらの行動変化も、見過ごさずに注意してあげましょう。

【ストレスかも?行動変化のSOSサイン】

サイン①:隠れる、または過度に甘える・攻撃的になる

普段は社交的な子が、来客後から物陰に隠れて出てこなくなった。
いつも以上に飼い主さんの後をついて回り、少しでも離れると鳴き続ける。
些細なことで唸ったり、威嚇したりするようになった。

これらの行動は、不安やストレスを感じているサインかもしれません。
無理強いせず、安心できる環境を整えてあげてみてください。

サイン②:トイレの失敗が増える、体を舐め続ける

きちんとトイレで排泄できていたのに、急に違う場所で粗相をするようになった。
体の特定の部分をしつこく舐めたり、噛んだりして、毛が薄くなったり皮膚が赤くなったりしている。

特に猫はストレスから膀胱炎を起こし、
頻尿や血尿、トイレ以外での排泄といった症状を出すことがあります(特発性膀胱炎)。

また、突然の過度なグルーミングは、皮膚炎が原因ではなく、
不安の表れであることが多いです。

獣医師からのアドバイス:連休明け、愛犬・愛猫のためにできること

「うちの子、なんか変かな…?」と思ったら、
まずは落ち着いて以下のことを試してみてください。

獣医師からの重要アドバイス

1. まずは心理的にも肉体的にも安心できる環境を整えましょう

静かで落ち着ける場所の確保:
愛犬・愛猫が安心して休めるように、
静かで薄暗い、邪魔の入らない寝床や隠れ家を用意してあげましょう。

生活リズムを通常モードへ:
食事の時間や内容、お散歩の時間などを、
できるだけ早く「いつもの状態」に戻してあげることが大切です。

無理強いしない:
元気がないからといって、無理に遊ばせようとしたり、
構いすぎたりするのは逆効果になることも。そっと見守る時間も必要です。

2. 優しく見守り、コミュニケーションを

アイコンタクトと優しい声かけ:
愛犬・愛猫の名前を優しく呼び、穏やかな表情で声をかけてあげましょう。
不安な気持ちを和らげる効果があります。

適度なスキンシップ:
嫌がらないようであれば、ゆっくりと撫でてあげるのも良いでしょう。
ただし、震えている時は、触られるのを嫌がることもありますので、
様子を見ながら行ってください。

【重要】こんな時は迷わず動物病院へ!迷っている時間は危険です

以下の場合は、様子を見ずにできるだけ早く動物病院を受診してください。
これらのサインは、自宅での様子見では危険な、救急医療が必要となる可能性のある状態です。

上記「危険な体調変化SOSサイン3選」のいずれかが見られる場合
ぐったりして元気がない、食欲がない状態が半日以上続く
嘔吐や下痢を繰り返す、血便や血尿が見られる
呼吸が苦しそう、様子が明らかにおかしい
半日以上、全く飲食しない
何よりも飼い主さんが「いつもと違う、何かがおかしい」と強く感じる場合

受診の際は、
いつからどのような症状が出ているか
GW(連休)中の生活の様子(誰が来たか・どこへ出かけたか・何を食べたか)を
伝えられるようにメモしておくと、診察がスムーズに進みます!

可能であれば、症状が出ている時の様子を動画で撮影しておくと、
より正確な診断に繋がることもあります。

まとめ:小さな変化が大きなサイン。早めの気づきと対応を!

楽しいゴールデンウィーク(連休)の後、
愛犬・愛猫は思わぬ疲れやストレスを抱えていることがあります。

「いつもと違うな」という飼い主さんの小さな気づきが、
病気の早期発見・早期治療につながります。

この記事で紹介したSOSサインは、あくまで代表的なものです。
大切なのは、普段から愛犬・愛猫の様子をよく観察し、
その子なりの「普通」の状態を把握しておくこと

そうすれば、わずかな変化にも気づきやすくなります。

GW明けは、飼い主さんもお疲れが出やすい時期かと思いますが、
ぜひ愛犬・愛猫の様子を気にかけてあげてください。

そして、少しでも不安なことや気になることがあれば、
一人で悩まず、かかりつけの獣医師に早めに相談しましょう。

皆さんと大切なご家族である愛犬・愛猫が、
健やかな毎日を送れることを心から願っています。

それでは、また次の記事で。

合わせて読みたい関連記事

[危険な症状を見逃すな!犬の病気早期発見ガイド]

[犬猫の救急医が伝えたい、緊急事態リスト 犬編]

[猫のストレスサイン:早期発見のポイント]

[猫のおしっこトラブル、早期発見の鍵となる5つのサイン]

-救急医の目線(犬), 救急医の目線(猫), 犬のあれこれ, 犬の飼い方, 猫のあれこれ, 猫の飼い方