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危険な症状を見逃すな!犬の病気早期発見ガイド

こんにちは。

動物の救急病院で日夜戦っている獣医のSohey(そーへい)です。

今回のテーマは「愛犬の病気のサイン」について。

日々の診療で「もう少し早ければ…」というケースを数多く見てきた経験から、
救急医の視点による重要なポイントをお伝えします。

絶対に見逃してはいけない5つの危険サイン

呼吸の異常

以下のような症状があれば要注意です:

ハァハァと荒い呼吸がしばらく続く(浅速呼吸)
お腹を大きく使って呼吸している(腹式呼吸)
咳が止まらない
横たわって呼吸が苦しそう
苦しそうなのに伏せをしない(かなり重症の可能性)
舌の色が赤紫〜紫色または白く薄いピンク(かなり重症)

このような症状が30分以上続く場合は、様子を見すぎずにすぐに病院へ行くことを強くお勧めします。

呼吸器の問題は命に関わる可能性が高いためです。

参考:「犬猫の救急医が伝えたい、緊急事態リスト 犬編」

食欲不振や元気消失など

「いつもと様子が違うかも」と感じたら、以下の項目をチェックしてみましょう:

食欲の有無
飲水量の変化
普段の活動量との違い
目の輝きや表情の変化
排便排尿

食欲があっても病気の可能性はあります。

元気と食欲が共に落ちている場合は、2日以上様子を見ないことを推奨します。

特に10歳を超える高齢犬では、早めの検査が非常に重要になりますね。

頻回嘔吐・止まらない下痢

嘔吐や下痢の原因は多岐にわたりますが、様々な病気のサインとなっているケースがあります。

下痢止めを飲んでもあまり改善しない下痢。
実は消化管の腫瘍が...なんてことはよくあります。

特に以下の場合は注意が必要です:

嘔吐が24時間以内に5回以上(重度の胃腸炎や腸閉塞など)
血液や異物が混じっている
水様性の下痢が止まらない
食欲不振や元気消失を伴い、どんどん悪化していく

様子を見すぎて悪循環になってしまわないように、早めの診察を!

歩き方の異常

突然の歩き方の変化は、重大な病気のサインの場合もあります:

前足/後ろ足のびっこ
後ろ足だけ動かない
つまずく・ふらつく・立てない
足を地面に全く着けない(重症の可能性)
目が左右/上下に揺れている(眼球振盪という)
グルグル回り続ける(同じ方向)
症状が徐々に進行している

歩き方の異常のほとんどは、筋肉や骨や関節の問題がほとんどです。

しかし稀に、脳神経疾患や脊髄疾患の可能性もあり、
その場合は緊急性が高いこともあります。

また、痛みを伴わなくても重症の場合があるので注意が必要です。

異常な出血

出血を見つけたら、以下の点に注意してください:

出血源の特定
出血の量(増えていくのか減っていくのか)
出血が止まるか

出血源(出どころ)は、
皮膚、鼻、口腔内、食道、胃、腸、膀胱(腎臓)、肝臓、脾臓、目(眼球内)、脳内、心臓、肺
と極めて多岐にわたります。

体の臓器ならどこからでも出血する可能性があります。

ただし、一般の検査では体表面以外からの出血源を特定することは困難です。
(超音波検査、MRI検査、CT検査、内視鏡を駆使すれば診断精度はあがりますが...)

つまり出どころが特定できない限り止血も困難である、ということ。

止血の基本は、「出血部位を圧迫すること」なので、
体の内部からの出血に対して、圧迫するという行為はできません。

ですので、様子を見すぎてどんどん出血量が増えてしまってからでは、
手遅れとなってしまうこともあるのです。

日常的な健康チェックポイント

予防は治療に勝ります

ちゃんと食べ、ちゃんと出し、しっかり寝る。
人間と同じように、これがもっとも重要なことになります。

  1. 食欲・飲水欲
    • 完食はしているか
    • いつものペースで食べきっているか
    • 水を飲む量は普段と変わらないか
  2. 排便・排尿
    • 便の硬さ、色、量、におい
    • 尿の色、量、におい
    • 排便/排尿回数
    • 排便時や排尿時に痛みはなさそうか
  3. 睡眠
    • 普段通りに寝れているか
    • 寝すぎてないか
    • 寝起き時に異常はないか
  4. 皮膚や毛の状態
    • 皮膚に赤み、しこり、腫れはないか
    • 毛ヅヤは良いか
    • 触って嫌がったり痛がったりしないか
    • フケは増えていないか
  5. 体重・体温・呼吸数
    • 可能であればこまめな体重測定
    • 体温測定が難しければ、手先、足先、耳の温かさチェック
    • 安静時(寝ている時)の呼吸数

毎日でなくても良いので、たまにチェックする習慣をつけましょう!

獣医師からのアドバイス

愛犬の健康を守るための3つの重要ポイントをお伝えします:

  1. 定期健康診断を欠かさない
    • 若いうちは数年に1回
    • 10歳を目処に毎年コンスタントに
    • シニア犬は半年に1回以上を推奨
  2. 予防は計画的に
    • 混合ワクチン
    • 狂犬病ワクチン(義務)
    • ノミ、ダニ、フィラリア症など
  3. 記録をつける
    • 体重の推移
    • 血液検査の結果をまとめておく
    • 気になった症状をメモして診察時にすぐ聞けるようにしておく

やはり、基本に忠実が一番大事!

参考:【救急獣医師が教える】犬の年齢別健康チェックポイント 犬

まとめ

病気の早期発見には、日々の観察が何より大切です。

「いつもと違う」と感じたら、それが重要なサインかもしれません。

飼い主様の感じる「違和感」は、そのほとんどが当たっています。
つまり、検査をしてみると、何かしらの異常や異変が起きています。

獣医師として強くお伝えしたいこと。
それは「様子見」が最大のリスクになりうるということです。

判断に迷ったら、すぐに獣医師に相談してくださいね。

参考:「あなたの愛犬が『〇〇病です』と言われたら 〜 初めての病気への対処法ガイド」

愛犬との時間を、できるだけ長く楽しんでいただけることを願っています。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!良い一日を!

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