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猫のおしっこトラブル、早期発見の鍵となる5つのサイン

こんにちは。 動物の救急病院で働いているSohey(そーへい)です。

今回は猫のおしっこトラブルについて。

猫の医療費で最も多くの割合を占める疾患は何だと思いますか?

タイトルでお分かりかもしれませんが、答えは「泌尿器疾患」なんです。日本最大手のペット保険会社の資料によると、猫の診療費全体の約25%が泌尿器疾患に関するものとなっています。

年齢別の統計を見ても、若い猫から高齢猫まで幅広い年代で泌尿器疾患が見られます。特に10歳を超えると診療費が急増する傾向にありますが、実は1〜3歳の若い猫でも十分に発症リスクがあります。

ちなみに、泌尿器疾患には慢性腎臓病などの腎臓の病気も含まれますが、今回は特に「おしっこのトラブル」に焦点を当ててお話しします。膀胱炎や尿石症、尿道閉塞など、猫がかかりやすい排尿トラブルは早期発見が何より大切です。

そこで今回は、猫の排尿トラブルの早期発見につながる5つのサインをご紹介します。

[関連記事:「猫のストレスサイン:早期発見と対処法」もチェックしてみてください]

サイン1:頻繁なトイレ通い

猫が何度もトイレに行くようになったら要注意!特に、トイレに入っては出て、また入るという行動を繰り返す場合は、排尿に問題があることは間違いないでしょう。

「トイレの前でウロウロしている」「トイレに入ったのに何もせずに出てくる」という行動が見られたら、膀胱炎を疑います。

膀胱炎の猫の多くのケースでは、「残尿感」にさいなまれるので、頻尿症状が見られます。「出し切った感」がないんです。

サイン2:トイレの外での排尿

いつもはきちんとトイレでおしっこをしていた猫が、突然別の場所で排尿するようになったら要注意です。

これは「トイレで排尿すると痛い」と学習してしまい、別の場所を試している可能性があります。

特に、冷たいタイルや洗面台、お風呂場などでの排尿が見られたら、泌尿器系のトラブルを疑っても良いかもしれません。

サイン3:尿の色や量の変化

健康な猫の尿は、透明に近い薄い黄色です。もし尿の色が変わっていたり、量が極端に少なかったりする場合は注意が必要です。

特に、ピンク色や赤色、トマトジュースのような色の尿(血尿)は明らかな異常のサインです。

また、長い時間トイレに入っているにも関わらず、ポタポタとしか出ていない場合は、排尿困難を示している可能性があります。

サイン4:排尿時に痛み!?

猫がトイレで鳴いたり、変な姿勢で踏ん張ったりしていませんか?それは痛みを感じているサインかもしれません。

また、排尿後に自分のお腹や陰部を過剰に舐める行動も、違和感や痛みを感じている可能性があります。

サイン5:様子の変化

泌尿器に問題があると、猫の全体的な様子も変わります。

食欲不振になったり、いつもより元気がなかったり、お腹を触られるのを嫌がったりするようになります。

これらのサインを見つけたら?

これらのサインが一つでも見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。

特にオス猫で尿が全く出ていない状態(尿道閉塞)は、急性腎障害や尿毒症を引き起こし、数日で命に関わる極めて危険な状態です。。

「様子を見よう」という選択が、取り返しのつかない事態を招くこともあります。不安に思ったら、すぐに相談してみてください。

予防のためにできること

水分をたくさん摂らせる

  1. 新鮮な水を常に用意する
  2. ウェットフードを取り入れる
  3. 流れる水(ペット用噴水など)を用意する

フードの変更

  1. 泌尿器疾患対策のフードに変更する

※尿検査にて膀胱結石の存在が確認されたら、療法食/処方食と呼ばれる専用のフードに変更してください。自己判断で療法食を始めず、必ず獣医師の診断と指示に従ってくださいね

トイレを清潔に保つ

  1. 毎日掃除する
  2. 猫の数+1個のトイレを用意する
  3. 猫の好みの砂を使う

ストレスを減らす

  1. 安心できる居場所を作る(隠れられる場所、高い場所など)
  2. 急な環境変化を避ける
  3. 十分な遊びの時間を確保する

定期的な健康チェック

  1. 年に1回は健康診断(尿検査も)を受ける
  2. おおよそ8歳以上の猫はより頻繁に

まとめ

愛猫の些細な変化に気づいてあげることが、健康を守る第一歩です。「いつもと違うな」と感じたら、迷わず獣医師に相談してくださいね。

それでは、猫ちゃんとの健やかな毎日をお祈りしています!

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