猫のワクチンについて独り言
一般的な猫のワクチンというのは3種ワクチンのことを指し、これは猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症の3つの病気の予防ができます。いわゆる『猫カゼ』に関与するウイルスです。
日常の診察では、くしゃみ、鼻水、目やに(特に黄色や薄緑色)、涙が出ていれば、『猫カゼ』ですね~って、サラッと言ってしまってます。
さきほど「病気の予防」ができると書きましたが、実際のところは病気の予防ではありません。ワクチンの効果は、病気に対する抵抗力、免疫力を付与するものであって、病原体の感染自体を抑えるわけではないんです。なので、本当に猫ウイルス性鼻気管炎に感染しているかどうかまでは実際のところあまり気にしていません(あくまでも私見です💦)。つまり、『何に感染しているか』よりも『どういう状態か』の方が大事って考え方です。完全室内飼育の猫でも、寒さ等のストレスで免疫力が低下し、『猫カゼ』を容易に発症します(特に冬生まれの元外猫さんなど)。
ちなみに、5種ワクチンは、上記3種ワクチンに猫白血病ウイルス感染症、猫クラミジア感染症を加えたものが一般的です。そのほか、猫エイズワクチン(猫免疫不全ウイルス感染症)も単品のワクチンとして存在します。外に出て、野良猫と接触する可能性のある猫は5種ワクチンで防御力を高めておくのも良いでしょう。

「本当に毎年ワクチン打たないとイケナイの?」
この質問、とても良く聞かれます。
そんなときは、「ワクチンメーカーの推奨が1年毎なので、毎年打っておいた方が無難ですよ〜」ってお答えしてます。ワクチンの効果は見ただけではわからず(当たり前ですが…)、おおよそ1年くらいは効果が持続しているだろうけど、そこから先の効果の保証はないよってことです。せっかく毎年コンスタントにワクチン接種していたのに、ある年だけ間隔が空いてしまって、運悪くその年に上記病気に感染しちゃったら残念ですよね?
パソコンのウイルス対策ソフトは期限が過ぎてしまったらその瞬間に効果は消滅してしまいますが、人間も含めた生き物のワクチンの効果は、同じワクチンであっても効果の持続期間は個々で大きく変わってくるので、毎年ピッタリ同じ時期に打つべきかどうかは、良くも悪くも判断に困るところです。ただ、毎年コンスタントに打っておくことで猫カゼ発症や体調悪化のリスクが下がるのなら、そのほうが個人的には良いのかなって考えます。
それでも、どうしても毎年は打ちたくない!のであれば、ワクチン抗体価というものを測定することで、防御力がどれだけ残っているかが数値で判断出来ます。病院によって多少の差はありますが、数千円程度の費用で検査できますので、ぜひ主治医の先生へ打診してみてください。
以上、ワクチンに関する私見でした。
ご参考まで。